ジャスティス
荒んだ息を静めるように深呼吸をした男。

乗り出した体を運転席に戻そうとした時だった。



「こんばんは」



後部座席から聞こえた声に体が跳ねたが振り返る間もなく肩に激痛が走った。

もやもやと揺れる視界。

意識が失われる前に見たものは自分を地に押し倒した憎い男の顔だった。







男の意識が無くなったのを確認すると善一は電話をかけた。



「こちらは無事に終わりました。今からそちらへ向かいます」



電話を切ると善一は女の方へと視線を向けた。

女は気を失っていた。

善一は男を引っ張り後部座席に無理矢理移動させると車から降りることなく運転席へと移動した。

女をもう一度見ると、善一は男に刺したものと同じ注射器を取り出し、女の腕にそっと針を差し込み液体をゆっくりと注ぎこんだ。

女は目覚めることなく、善一が運転する車に揺られていた。











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