ジャスティス
二度目の罰。

二度目は中指が潰れ、激しい痛みと痺れが襲った。

身体中から冷や汗が流れ、体が震える。

痛みから、男は顔を歪ませ、声が枯れるほどの大声で叫んだ。

咄嗟にブレーキを踏むこともできずに、カーブを曲がりきれなかった車はコンクリートの壁に激突した。

その反動で跳ね返った車は進むべき方とは反対を向いて止まった。

口を歪ませてよだれを滴ながら泣く男には先程の威勢はもうなかった。

ボンネットから煙が上がる車の中で嗚咽を漏らしながら体を震わせながら泣いていた。

ピーピーと警告音が鳴り、男は項垂れた。





「あっうっっ・・・もっ、もぅやめ、やめでくれっ」



懇願するように絞り出した声。

だが、警告はお構い無しに続いた。

警告音が忙しくなり、ふと前を見ると真っ直ぐにこっちに向かってくる車が見えた。

男は泣き叫びながら慌てて車を走らせようとしたが手のひらにかいた汗で手が滑り、ハンドルがうまく握れなかった。

ぐんぐんと迫る車に比例するように鳴る警告音。

車が目の前に来た瞬間、バンッと耳元で紙袋を潰されたような音がし、体を強く押さえ付けられるような衝撃と共に、すべての指に衝撃が走った。

善二の運転していた車が男の車に衝突したのだ。

車内はほんのり白く濁り、焦げ臭い。

飛び出したエアーバックが視野に見える。

強い衝撃を受けた男は、咳き込み、嘔吐した。

そこで初めて固定されていた右手が自由になっていることに気付いた。



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