ジャスティス
「善一、さっきの車が戻っているかもしれない。ご近所様に迷惑をかけるといけないから確認してくれないか?」
善一は「はい」と返事をし、玄関から入って右側の廊下を進み、一番奥の左側の部屋に入っていった。
部屋に入り、パソコンを起動させるとパスワードを入力した。
いくつものフォルダーから"camera"のフォルダーを開くとそこには屋敷のいろいろな場所の名前が表示されている。
門前、玄関、庭、裏庭、などの桐山家の屋敷周り全ての場所がカメラによって監視されていた。
善一はその中の一つ"離れ"と表示されているものをクリックした。
新しい画面が開き、そこには先ほど由良がいた空き地が写し出されていた。
空き地の前の道を走る車のライトが空き地の入口を照らしながら走り去っていった。
さすがにもう来ないだろうと思っていたが念の為にしばらく監視していた時だった。
夜中の一時過ぎ、また一台の車のライトが空き地に近付いて来るのが見えた。
その車は執拗なほどに由良と善一を追い回した、あの白い車だった。
そして、まるで何もなかったかのように当たり前に敷地内に侵入をし、車を停めたのだ。
「止めておけばいいものを」
善一は呆れたように呟いた。
監視カメラからは厳つい男が運転席から出るのが見えた。
それと同時に、助手席からは季節感の全くない服装をした女が出て来るのが見えた。
冬の入り、肌寒いにも関わらず恐らく着ているものは春物だろうか。
善一は溜め息を吐いた。
椅子から腰を上げ、部屋からでると、この家の主人である由良の父親、克明の部屋のある二階の奥に向かった。
「旦那様、よろしいでしょうか?」
そう言うと、部屋の中から歩く音が聞こえた。
「あぁ、構わないよ」
ドア開くのと同時に克明は答えた。
「先ほどの車ですが、また戻ってきているようですが。どうされますか?」
克明は、苦笑いしながら"やはりそうか"と答えた。
そのやり取りをしている最中、由良はいつの間にか善一の横に立っていた。
「もう、これは痛い目みなきゃ分からないと思うよ。注意されて逆に私達を追いかけ回すんだから。私、車に乗ってて煽ってくる人、本当に嫌いなんだよね」
そう言った由良の顔は少し不機嫌そうだった。
「しかも、また停めてるんでしょ?たぶん止めないよ。ご近所様にも迷惑だし、早いところ処理した方がいいと思う。私がやってもいい?」
克明は少しだけ考えた。
恐らくあの男は注意をしたところで素直に聞く様子もない。
寧ろ逆上して娘の乗る車を追いかけ回し、反省など微塵もなかった。
これ以上に注意をしたところで更に娘や家族が何かされることも万が一にもあるかもしれない。
克明はそう思ったのだ。
考えた末に克明は、好きにしなさいと告げた。
「善一、由良を頼んだぞ」
大事な娘に何かあってはいけない。
克明は念を押すように、善一に言って部屋に戻っていった。
善一は「はい」と返事をし、玄関から入って右側の廊下を進み、一番奥の左側の部屋に入っていった。
部屋に入り、パソコンを起動させるとパスワードを入力した。
いくつものフォルダーから"camera"のフォルダーを開くとそこには屋敷のいろいろな場所の名前が表示されている。
門前、玄関、庭、裏庭、などの桐山家の屋敷周り全ての場所がカメラによって監視されていた。
善一はその中の一つ"離れ"と表示されているものをクリックした。
新しい画面が開き、そこには先ほど由良がいた空き地が写し出されていた。
空き地の前の道を走る車のライトが空き地の入口を照らしながら走り去っていった。
さすがにもう来ないだろうと思っていたが念の為にしばらく監視していた時だった。
夜中の一時過ぎ、また一台の車のライトが空き地に近付いて来るのが見えた。
その車は執拗なほどに由良と善一を追い回した、あの白い車だった。
そして、まるで何もなかったかのように当たり前に敷地内に侵入をし、車を停めたのだ。
「止めておけばいいものを」
善一は呆れたように呟いた。
監視カメラからは厳つい男が運転席から出るのが見えた。
それと同時に、助手席からは季節感の全くない服装をした女が出て来るのが見えた。
冬の入り、肌寒いにも関わらず恐らく着ているものは春物だろうか。
善一は溜め息を吐いた。
椅子から腰を上げ、部屋からでると、この家の主人である由良の父親、克明の部屋のある二階の奥に向かった。
「旦那様、よろしいでしょうか?」
そう言うと、部屋の中から歩く音が聞こえた。
「あぁ、構わないよ」
ドア開くのと同時に克明は答えた。
「先ほどの車ですが、また戻ってきているようですが。どうされますか?」
克明は、苦笑いしながら"やはりそうか"と答えた。
そのやり取りをしている最中、由良はいつの間にか善一の横に立っていた。
「もう、これは痛い目みなきゃ分からないと思うよ。注意されて逆に私達を追いかけ回すんだから。私、車に乗ってて煽ってくる人、本当に嫌いなんだよね」
そう言った由良の顔は少し不機嫌そうだった。
「しかも、また停めてるんでしょ?たぶん止めないよ。ご近所様にも迷惑だし、早いところ処理した方がいいと思う。私がやってもいい?」
克明は少しだけ考えた。
恐らくあの男は注意をしたところで素直に聞く様子もない。
寧ろ逆上して娘の乗る車を追いかけ回し、反省など微塵もなかった。
これ以上に注意をしたところで更に娘や家族が何かされることも万が一にもあるかもしれない。
克明はそう思ったのだ。
考えた末に克明は、好きにしなさいと告げた。
「善一、由良を頼んだぞ」
大事な娘に何かあってはいけない。
克明は念を押すように、善一に言って部屋に戻っていった。