農民生まれの魔女
私はそれ以上考えるのを止めた
そしてまだ暖かさ残る手の甲を見て顔を真っ赤にした

「ど、どうしよう私のファーストキスが」

「キャーーーー!」

悲鳴を聞いて私は現実に引き戻された
私は不可抗力とはいえとんでもないことしてしまったのだ
この現場を見た女性は腰を抜かしていた
逃げてはいけないと思ったが私の身体が勝手に動いていた

誰もいない所まで来てようやく私はもう後戻り出来ないと思った。それと同時に自分の力が怖くなった、お母さんから力の膨大さは聞いていたが全く実感がわかなかった

さっきの女性に顔はバレている
もうこの町には居られないと思うと涙が出てきた

「お母さんお父さん、私どうしよう」
私は両親から貰ったペンダントを握り締めた

不安が限界に達しようとしていた時突然ロイに貰った指輪が赤く点滅しだした
そういえばこれなんだろう外してよく見ようと思ったらどんなに強く引っ張っても外れない

「早く家に帰れ」

「誰」
私は最初誰かが居るのかと思って、挙動不審に辺りを見回したが周りには誰も居なかった
だからあまりにも今の現状が怖かったから幻聴が聞こえたのかなと私は思った

「早く家に帰るんだ!」

2度目で流石に幻聴でないことがわかった
だがその声の発信源が信じられなかった
その声はなんと指輪から出ていた

「何これ指輪がしゃっべってる!私が頭おかしくなったのかな。それともこの指輪が…」

しゃべる指輪が気持ち悪くて強引に外そうとしたが

「抜けない、なんなのこれ」

「お前が殺した所を見ていた女がみんなにチクった今家に大勢で向かってるぞ」

指輪は一方的にしゃべった

「う、嘘 お父さんお母さん」
イヴは指輪のことを信じて走って家に向かった



< 6 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop