素直になれない雨と猫
「どうしよう」



わたしがクッキーを探して当たりをきょろきょろしだしたときには時すでに遅し。

少し離れた場所に見覚えのある袋は落ちていたが、落ちていたのは袋だけではなかった。

中のクッキーまであたりに散乱していたのだ。


悔しいとか恥ずかしいとか、そんな感情はどうでもよかった。

ただただ悲しかった。

できることならこの場で泣いてしまいたいくらい。

クッキーごときで、と笑われるかもしれないけど。



「だめだ」



わたしは思い立ってクッキーを拾おうと手を伸ばした。

いまの気持ちを消し去りたくて、どうしようもなかったから。










「こんにちは」
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