素直になれない雨と猫
4.あなたと野良猫
結局彼が差し出したクッキーはおとなしくわたしの腕の中にあった。
修道院に帰ってからもぼーっと時間が過ぎた。
クッキーの袋を抱いて動かないわたしは、傍から見たらそうとうへんなやつだっただろう。
「食べないのかい」
代里からそう声をかけられて初めて正気に戻った。
夢から現実に引き戻される感覚。
「食べる」
「ユメ、あんたへんなもんでも拾って食べたんじゃないだろうね」
目を細めて何かを見透かすようにわたしを見つめる代里に、何も悪いことなんてしてないのにどきっとする。
へんなものは拾ってないし、食べてもいない。へんな人には会ったけど。
「わたしのことなんだと思ってるの」
「野良猫?」
どういう意味だ。と思いながら、クッキーの袋を開ける。
中から甘い香りがあふれ出した。
そう、この匂い。
修道院に帰ってからもぼーっと時間が過ぎた。
クッキーの袋を抱いて動かないわたしは、傍から見たらそうとうへんなやつだっただろう。
「食べないのかい」
代里からそう声をかけられて初めて正気に戻った。
夢から現実に引き戻される感覚。
「食べる」
「ユメ、あんたへんなもんでも拾って食べたんじゃないだろうね」
目を細めて何かを見透かすようにわたしを見つめる代里に、何も悪いことなんてしてないのにどきっとする。
へんなものは拾ってないし、食べてもいない。へんな人には会ったけど。
「わたしのことなんだと思ってるの」
「野良猫?」
どういう意味だ。と思いながら、クッキーの袋を開ける。
中から甘い香りがあふれ出した。
そう、この匂い。