素直になれない雨と猫
この古びた元修道院には、行き場のない者が集って勝手に住んでいる。

わたしは一番の新参者で、密花さんと代里は古い付き合いだ。

もう一人の住人は屋根裏部屋に閉じこもったままめったに顔をだすことがない。

わたしの親友は暗闇が大好きだから。



「ナオくんのところにもお願いしていいですか」



密花さんが二人分のホットミルクをトレイに乗せて持ってきた。

ピンクと水色のマグカップ。

わたしとナオのものだ。

断る理由はないので軽く頷いてトレイを受け取る。



「まだ雨が降っているので気を付けてくださいね」



これはお決まりのセリフ。

ナオのところに行くときは、少し気を付けなければならない。


今日は割れ物を持っているから、さらに注意しないと。
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