俺様副社長のターゲット
いつものように副社長室に向かった。



「副社長、明日ですが海外事業部のプロジェクトとの親睦会がありますが、参加は大丈夫でしょうか?」


「ああ。松井も大丈夫か?」


「はい、予定に入れておきます。」


「ああ。明日は早めに上がれよ。顔が疲れてる。」


「いえ、大丈夫です。」


「そうか。何かあれば言え。」


「はい。それでは失礼します。」



副社長室を出ようとドアノブに手を掛けたが、背後からの声に動きを止めた。



「朱里、無理してないか?」


「無理?」


「ストレス溜まってないか?」


「…………大丈夫です。」


「何かあれば絶対に連絡しろ。」


「…………ありがとうございます。」



私は副社長室から廊下に出た。尚輝の優しい声に涙が溢れそうになる。私は大きく深呼吸をして背筋を伸ばした。



『頑張らないと。』



私は気合を入れて秘書課に戻った。尚輝の優しさが今の私には凄く力になった。
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