俺様副社長のターゲット
「なら知ってるんでしょ。私と副社長が先輩後輩だった事を。」


「正解。」



私は溜め息を吐いて、目の前のグラスを煽った。楽しそうな陽輝から逃げ出したかった。



「松井さんの高校時代を知りたい。佐伯、どうなんだよ。」



佐藤さんが楽しそうに陽輝に話し掛けている。私は陽輝を見つめた。



「朱里さんは………モテてたよ。今と変わらずモテてた。」


「やっぱり美人だったんだな。」


「そうだね。年下からも人気があったよ。」



私の高校時代の話で盛り上がる。副社長との関係は知られたくない。



「俺も狙ってた。朱里さんは気付いてた?」


「…………嘘でしょ。」



陽輝が真面目な顔になった。私は陽輝を見つめ返していた。
< 112 / 229 >

この作品をシェア

pagetop