俺様副社長のターゲット
答えが出せないまま一週間が始まった。私はいつものように出社をする。



「おはようございます、副社長。」


「松井、おはよ。」


「本日ですが…………。」



一日のスケジュールを伝える。副社長は机に向かい、書類を見ながら聞いている。



「海外事業部との会議の資料を事前に貰ってきてくれ。」


「はい。」


「今夜の取引先と接待には同行しろ。紹介をする。」


「はい。」



私は副社長の指示をメモりながら聞いた。沈黙に副社長室を出ようと背を向けた。



「朱里、弟から聞いた。彼氏は本当に大丈夫なのか?」


「…………。」


「困ってるなら相談に………。」


「大丈夫です。副社長、会議の資料をお持ちします。」



副社長の言葉を遮り、私はそのまま副社長室を出た。


今、副社長に甘える事は都合が良すぎる。あれだけ副社長を拒否しておいて、彼氏の相談なんてできない。
< 123 / 229 >

この作品をシェア

pagetop