俺様副社長のターゲット
「尚輝には立場がある。副社長が他の男から女を奪ったと噂になれば、会社としてのイメージもよくない。」


「はい。本当に申し訳ございません。」


「朱里が謝る必要はない。あの男が非常識なだけだ。」



副社長の低い声に頭を上げた。副社長が不機嫌な様子で社長を見ている。



「尚輝には言ったが、しばらく尚輝の秘書を交代する。松井さん、君は私の第2秘書として賢人と一緒に行動してくれ。」


「親……いや、社長、俺は認めません。」


「私が決めた事だ。副社長は従いなさい。松井さんもいいかな?」


「はい。本当に申し訳ございません。」



私はもう一度頭を深く下げた。



「私が言える立場ではないが、仕事を邪魔するような男はどうかと思うがね。」


「はい。社長、副社長、本当に申し訳ございませんでした。」



私は頭を下げたまま、二人に謝罪した。社長がソファーから立ち上がり、私の横に立った。



「すぐに噂も消えるだろう。ただ尚輝は普通の社員ではない。会社の顔でもあるし、イメージが悪くなれば利益にも繋がる。それを肝に銘じておいてくれ、松井さん。」


「はい。」


「尚輝もだ。軽々しい行動は控えなさい。」


「………………。」



社長が副社長室から出て行った。私は頭を上げて副社長を見た。
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