俺様副社長のターゲット
「ロビーで揉めてからは会ってません。」


「別れるなら、ちゃんとした方がいいよ?尚輝もその方が喜ぶ。ほら、松井さんが尚輝の秘書から外されて、滅茶苦茶不機嫌だし。」


「反省してないの?副社長は。」


「俺は悪くない。早く松井さんを俺の秘書に戻せと社長に迫ってるらしい。」


「ふふっ、尚輝先輩らしい。」



私は微笑んだ。



「やっと笑ったね?噂も消えてきたし、本当に気にする事ない。」


「はい。」



優しい賢人の言葉に微笑んだ。



「会議に行こうか。尚輝も出席するから顔を見るといい。不機嫌丸出しだ。峰岸さんが困ってたからね。」



私の代わりは峰岸さんだ。私よりも遥かに秘書としても腕は上だ。



「私も頑張らないと。」


「ん?」


「いえ。また副社長秘書に戻った時、峰岸さんと比べられてしまうので。佐伯課長、どんどん教えて下さいね。」


「ははっ、ビシビシいくよ?」


「はい。いい機会だったかもしれません。私も覚えられて。」


「ははっ、そうかもね。行くよ、松井さん。」



私は役員会議に出席するため、賢人と一緒に会議に向かった。賢人に付いて2週間は過ぎた。私は充実した日々、穏やかな日々に安心していた。
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