俺様副社長のターゲット
「私のせい?」


「そうよ!朱里のせいよ!」



真純から煌太に視線を向ければ、私から視線を逸らしている。前よりやつれたようにも見える。



「煌太、ごめん。私、煌太とは結婚しない。」


「はあ?」



煌太の逸らされていた視線が私に向けられる。私は煌太の目を見て、はっきりと言い切った。



「ごめん、煌太を苦しめて。私はずっと煌太と一緒にいられたらって思ってた。本当だよ?でも煌太変わったよ。」


「朱里のせいで変わったんだよ!」


「私のせいか………。」



私の小さな呟きが漏れた。私は煌太と真純に背を向けて玄関に向かい、手に持っていた合鍵を靴箱の上に置いた。



「朱里?」


「煌太、別れよう。煌太が変わったのは私のせいでしょ?私が元凶なんでしょ?」


「そんな事は言って………。」


「もう疲れた。煌太の監視するような行動や命令ばかりする煌太に。」



私は靴を履いてドアノブに手を掛けようとしたが、その手を強く掴まれ玄関に倒された。仰向けになった私の上に煌太が馬乗りになる。


私は恐怖に固まった。
< 134 / 229 >

この作品をシェア

pagetop