俺様副社長のターゲット
「佐伯商事の副社長?」



煌太の驚いた声がロビーに響く。私は煌太の口に手を当てた。



「声が大きい。私、来月から彼の秘書やるの。」


「あっ、ああ、そうか。」


「副社長、私達は失礼します。」



私は煌太と扉を潜ろうとしたが、背後からの声に振り返った。



「普通の男を選んだのか?」


「…………。」


「朱里、お前ならもっといい男が………。」


「普通が好きなんです。尚輝先輩こそ、女なんて寄ってくるでしょ?」


「ははっ、何気に男に失礼だろ。普通、普通って。」


「…………。」


「来月から頼むよ、秘書さん。」



クスクスと笑いながら尚輝は会社の中に入っていく。
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