俺様副社長のターゲット
「頼め。」



命令口調の煌太。私はメニューに視線を向けていた。



「朱里さんの彼氏?」


「…………ああ。」



私は隣に座る煌太に首を振った。



「違うでしょ!あの日、別れたんだよ、私達は。」


「俺は納得してない。朱里が勝手に決めただけだろ。」



鋭い煌太の視線、低い声にビクリとした。それでもハッキリさせなければならない。



「言ったよね?別れようって。私は別れたつもりだから。」


「勝手に決めるなよ、朱里。」


「私、言ったよね?浮気は許さないって。はっきり言うと、真純と寝たって聞いて一気に冷めた。もう煌太を好きじゃない。」



私はメニューを閉じて立ち上がった。



「悪いけど帰る。真純も元気でね?煌太、もう会社には来ないで。」



鞄を持ち、席を離れようとした手を煌太に掴まれた。チラリと煌太に視線を向けた。



「本当に終わりなのか?」


「そうよ。」



煌太の手が離れていった。私は俯く煌太から視線を逸らした。

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