俺様副社長のターゲット
「アンタなんか無理。アンタの想いより兄貴の想いの方が断然大きいから。」


「…………。」


「相手の為に身を引く強さって誰にでも出来る事じゃない。それを兄貴はしたんだよ。自分の弱さを認めて強くなろうって。」



煌太が目の前にはあるビールをゴクゴクと喉に流し込んだ。



「アンタも周りにみっともない事ばかり見せてたら友達がいなくなるよ?そろそろ足掻くのは止めたら?」


「…………。」


「本当の愛情を履き違えて、堕ちる所まで堕ちたら這い上がれなくなるよ。今なら間に合うんじゃない?」



陽輝が隣に座る真純を見下ろした。その瞳は冷たいモノだった。



「俺、簡単に靡くような女は信用してないから。ごめん、帰るわ。」


「えっ………。」


「朱里さんも帰ろう。」



私はチラリと煌太を見れば、じっとビールを見つめていた。



「煌太、今までありがとう。バイバイ。」



私は煌太と真純の座るテーブルに背を向けて、店内を横切って店の外に出た。
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