俺様副社長のターゲット
「煌太、ごめん。」


「ん?何が?」


「だって普通、普通って。」



私は煌太を見上げれば、優しく微笑む煌太と視線が合った。


私の手を繋ぐと歩き出した。



「普通で良かったよ。じゃないと朱里とは付き合えなかったんだろ?」


「………ごめん。」


「謝る必要ない。本当だしな。あの副社長に比べたら普通だよ。」



「………ごめん。」



「じゃあ、今日は朱里の奢り。」



私は隣を歩く煌太を見上げた。ニヤリとする煌太と目が合った。



「朱里の奢り。」


「ふふっ、いいよ。」


「んじゃあ、ステーキにするか?」


「はあ?」


「奢りだろ?」


「…………。」



煌太が愉しそうに私の手を繋いで歩く。周りの目なんて気にならない。
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