俺様副社長のターゲット
私は秘書室に戻り、内線で陽輝に副社長の言葉を伝えた。



「兄貴も厳しすぎるよな。」



陽輝の愚痴を笑って聞いていた。尚輝も陽輝もお互い想い合ってるのに伝わっていない。


私は一人っ子だから兄弟の気持ちはよく分からないが、二人はお互いの事を想っているのが分かる。



私は朝一で資料を取りに行くと伝えて内線を切った。


時計を見れば、あっという間に時間が経っている。急いで、業務を片付けると出掛ける時間だ。


鞄を手に取り、私は課長に声を掛けた。



「佐伯課長、午後は悠木ホールディング本社に行ってきます。」


「わかった、気を付けて。」



私は軽く頭を下げて秘書室から副社長室に早足で向かった。


副社長室に入れば、ソファーで煙草を咥える副社長に頭を下げた。



「副社長、お待たせしました。」


「ああ、行くぞ。」



私は副社長と二人でエレベーターで地下まで下りる。
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