俺様副社長のターゲット
私は隣に座る尚輝を見たが、知らん顔をしている。



「尚輝先輩。」


「あっ、ペナルティな。朱里、約束だろ。」


「今はそんな話しはしてません。」


「約束だろ。朱里、ペナルティな。」



私はビールに手を伸ばす尚輝の腕を掴んだ。



「何だ、朱里。」


「車です。会食じゃなくて飲み会なら、私が飲みます。尚輝先輩は飲まないで下さい。」


「はあ?」


「車の運転はお願いします。」


にっこりと微笑んだ。眉間に皺を寄せる尚輝にニヤリとした。



「ははっ、ははっ、別れた二人には見えないな。」



悠木さんが私達の前で滅茶苦茶笑っている。



「高校で別れたんだろ?」


「今は付き合ってる。」


「マジか?」



驚いた悠木さんに尚輝が私の肩を抱き寄せた。



「ああ。朱里、付き合ってるよな?」


「ちょっと。」


「付き合ってるよな?」


「………です。」



尚輝が嬉しそうに私を見ている。
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