俺様副社長のターゲット
「副社長、御馳走様でした。」



副社長と陽輝以外が頭を下げた。



「朱里さん、手ぶらじゃない?」


「…………鞄を取りに行けなかったの。」


「兄貴も強引だな。」



私達は会社に向かって歩く。仲良く歩く陽輝達、同期を見つめる。私にも同期と仲良く過ごした時期もあった。



「懐かしい………。」



ふと漏れた言葉に尚輝の手が私の頭を撫でる。



「あっ、朱里さん。夏休みは一緒に過ごすでしょ?」



陽輝の言葉に尚輝の手と足が止まった。釣られるように私の足も止まった。



「どういう意味だ?」



尚輝の不機嫌な声が聞こえてきた。チラリと見れば、案の定、睨まれている。



「皆でよ。尚輝も賢人さんも真央も。皆でよ。」


「聞いてない。」


「まだ話してない。でも陽輝くんは行く気満々ね?」


「二人で過ごすだろ?」


「陽輝くんと相談して。私はどちらでも。」



私は再び歩き始めた。すぐに尚輝も追いついて来て隣に並んだ。



「仲良すぎだろ。」



尚輝の呆れた声にクスリと笑った。
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