俺様副社長のターゲット
本当に仕事の用件だったのかと、資料を受け取ると尚輝に背を向けた。


途端に背後から抱き締められ、ビクリと体が揺れた。



「ちょっと副社長。」


「少しだけ………。」



耳元で囁く心地のよい声に動けなくなった。暫くすると尚輝が離れていった。



「やっと取り戻したんだな。」


「えっ?」



振り返り尚輝を見上げた。嬉しそうな尚輝の顔に微笑んだ。



「結局、尚輝の思い通りになったんだね。」


「俺の想いが伝わったんだろ。」


「そうだね。陽輝くんにも感謝してね?力説してたから。尚輝がどんなに私を好きかって。」


「………マジか。」


「そうよ。じょあ行くね。」



驚く尚輝にクスリと笑い、今度こそ、副社長室を出ていく。



「今日、一緒に帰ろう。」


「ふふっ、はい。」



扉を閉める直前に掛けられた言葉に小さく頷いた。
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