俺様副社長のターゲット
一日の業務も終わり、尚輝と一緒に帰る。勿論、車でだ。



「涼しい。車は快適だね。」


「だから毎朝乗せてやるって。」


「止めとく。ただの平社員だから。」



尚輝と話していれば、見覚えのある景色になってきた。



「尚輝?」


「もう分かったか?」


「………わかりますよ。」



尚輝の車が停車した。数ヵ月前に尚輝と来た場所だ。


尚輝が車から降りれば、私も車から降りた。



「ほら、行くぞ。」



尚輝が手を出してきた。私はその手を握り返せば、尚輝が嬉しそうに目を細めた。


二人で暑い中を歩いていく。



「勝手に入ったら怒られない?」


「大丈夫だ。」



薄暗がりの校舎に向かって歩く。そう、ここは私達の母校だ。


数人の生徒とスレ違う。チラチラと視線を感じながら二人で進む。



「朱里、言っただろ?」


「ん?」



私は足を止めた尚輝に続いて、足を止めて尚輝を見上げた。
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