俺様副社長のターゲット
ふと尚輝を見上げれば、触れるキスが落ちてきた。



「ちょっと尚輝。」


「久しぶりだからな。ほら、行くぞ。」



尚輝の差し出した手を握り返した。



「やっぱり暑いな、外は。」


「夏だもん。」



私達は懐かしい高校を後にした。



「先生、驚かなかったね?」


「たまに恋人同士で来るんだろ。」


「恋人の場所か………。」


「俺達が始まりだ。」



尚輝を見ればニヤリとしている。私は首を傾げた。



「尚輝、何?」


「いや。俺達も始まりだなって思って。」


「そうだね。」


「朱里は頷いたんだからな。この先ずっと一緒にいるって。」



チラリと尚輝を見れば、運転中の尚輝と一瞬目が合った。



「朱里、本当だよな?」


「本当だよ。私は愛されてるみたいだから。」



クスリと笑えば、真剣な尚輝の言葉に私は笑うのを止めた。



「朱里は?俺を愛してくれてるか?」


「好きだよ。きっと愛してるよ。」


「………曖昧だな。まあいい。いつかは言わせてやる。」
< 206 / 229 >

この作品をシェア

pagetop