俺様副社長のターゲット
「失礼します。本日の資料をお持ちしました。」


「ああ、ありがとう。」



デスクに座る尚輝に手渡した。



「それと………本日の帰りは用事が出来た為、キャンセルします。」


「はあ?」



頭を上げた尚輝が私を見てきた。私はお辞儀をして部屋を出ようとしたが、背後からの足音に足を止めた。


尚輝に肩を掴まれて、私は尚輝に振り向いた。見るからに不機嫌だ。



「何の用だ?」


「真央と買い物に。」



尚輝の手が肩から離れて、また自分の席に戻っていく。私も話は終わりだと思い、扉に手を伸ばした。



「一緒に行くからな。賢人も誘っておけ。」


「……………佐伯課長は忙しいかと。」


「親父に言っておく。賢人も誘え。」



尚輝が再び仕事を始めた。私は溜め息を吐いて部屋を出た。
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