俺様副社長のターゲット
「松井、ついたぞ。」



尚輝の声にハッと我に返った。いつの間にか秘書課の扉の前についていた。



私は尚輝に頭を下げようとしたが、尚輝はそのまま秘書課に入っていく。



「待っ………。」



「おはよ。」



「「「副社長、おはようございます。」」」




秘書課から聞こえてきた声に緊張が走る。私は尚輝の前に出て頭を深く下げた。



「本日より佐伯商事秘書課にお世話になります、松井朱里です。宜しくお願い致します。」



大きな声で挨拶をした。静まり返る秘書課にゆっくりと頭を上げた。



じっと私を見つめる目に再び頭を下げた。



「えっと松井さん。私が秘書課の課長で佐伯賢人(さえき けんと)です。社長秘書担当です。」



聞こえてきた優しそうな声に頭を上げた。凄く顔は整っており、黒髪はキチンとセットされており、若そうな男性が微笑んでいた。



「松井さんには副社長の秘書をお願いします。」



「はい。」



私も笑みを浮かべて大きく頷いた。
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