俺様副社長のターゲット
私達、秘書課の弁当を持ってきていないメンバーでお昼に行く事になった。



エレベーターでロビーに下りれば、周りの視線が私達に向けられる。



「秘書課?嘘、副社長じゃない?」



「副社長が秘書課と?珍しい。」



「副社長、絶対に誘っても断られるのに。秘書課はいいわね。」



聞こえてくるのは昔と同じ尚輝と一緒にいる私達の事だ。



尚輝は今も昔も変わらない。人目を引く存在なのだ。だから私は離れたのに――――。




「新しい秘書?」



「綺麗な人ね?」



「おい、あの秘書、綺麗だな。フリーかな?」



「高嶺の花だろ、秘書なんて。」



チラリと聞こえてくる方向に視線を向ければ、社員の男性と目があった。私は軽く会釈をした。



「おい、見たか?」



「見た。誰だ?名前は?」



私はそのままビルから出ていき、皆とランチするお店に並ぶ。
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