俺様副社長のターゲット
「なら、別れる前に相談するべきだろ?」



「…………出来なかった。」



手を掛けていたドアノブから手を離して、尚輝の顔を見上げた。



間近にある尚輝の顔を見上げる。



「好きだったから相談なんて出来なかった。」



「別れるより………。」



「高校生の私には好きだった尚輝先輩に嫌われるような相談なんて出来なかった。相談して嫌われたらとか、重い女だって思われたくなかった。」




尚輝の言葉を遮り、一気に捲し上げていく。




「尚輝先輩が大好きだったから………嫌われるような相談なんて出来なかった。きっと知られたら尚輝先輩は私を簡単に捨てるって思ってたから。」



「捨てる?」



「だって………あの頃の尚輝先輩は私より他の女と遊ぶ方が楽しかったでしょ?私の前で平気で『たまには息抜きするか』なんて言う人だったから。」



私は尚輝に背を向けて、今度こそ、扉を開けようと力を籠めたが扉を押す尚輝の力には敵わない。
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