俺様副社長のターゲット
「副社長、手を退けてください。秘書室に戻ります。」



「………。」



「副社……。」



「勝手に決めるなよ。俺の気持ちを勝手に決めつけるなよ!」



背後の尚輝の怒鳴り声が部屋に響き渡った。私は怒る尚輝に体の動きが止まった。



「他の女と遊ぶ方が楽しかった?息抜き?勝手に俺の気持ちを決めるな!」



「尚輝先輩………?」



「俺はいつだって朱里と一緒にいたかった。帰りだって、いつも一緒に帰りたかった。俺はいつも朱里といたかった。」



尚輝の腕が私の腰に回され、背後から抱き締められる。私は突然の行動に硬直した。



「誤解されるような行動をした俺も悪い。だけど俺はいつも朱里に伝えていた。『一緒にいたい』『好きだ』って。」



「…………。」



「別れる前に相談して欲しかった。嫌われるような相談じゃないだろ?俺と朱里が一緒にいるための相談なんだから。」



「でも尚輝先輩はモテるし、彼女なんて私じゃなくてもいいんじゃないかって。」
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