俺様副社長のターゲット
「誰でもいい訳ねぇだろ。俺は本当に別れたくなかった。こうして抱き締めれる彼氏でいたかった。」



「…………今さら遅いよ………。」




尚輝が私の腰から腕を離した。私は今度こそ扉を開けた。



「絶対に取り戻す。」



私は廊下に出て秘書室に向かった。背中には尚輝の温もりが残っていた。



私は秘書室にある自分の席に腰掛けた。



「松井さん、大丈夫?」



「えっ?」



隣に座る峰岸さんが顔を覗き込んでいた。私はにっこりと笑った。




「大丈夫ですよ。初めての副社長室に緊張しただけです。」



「そう?何でも相談して?」



「はい。ありがとうございます。」




私は自分の机に向かって、午後からの会議の資料を整理する。



内輪の小さな会議には私も一緒に出席する。その前に資料に目を通しておく。




「松井さん、会議室のセッティングとか教えるわね。」



「はい。」



峰岸さんの指示に従い、会議室のセッティングをする。
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