俺様副社長のターゲット
机に置いてある資料などを持ち、私は副社長室に向かう。



扉をノックすれば、落ち着いた低い声が戻ってきた。私は扉を開けて副社長室に一歩入る。



「副社長、お時間です。」



「ああ。親父、悪いけど行くから。」




ソファーに腰掛ける人物に視線を向ければ、年配の男性が腰掛けていた。



親父………?



「失礼致しました。社長がいらっしゃるとは。私は先に廊下でお待ち………。」



「いや、私は部屋に戻るから。松井朱里さんだったかな?」



「はい。本日から副社長の秘書をさせて頂いております、松井朱里です。」




ソファーから立ち上がった社長に深く頭を下げた。社長が私の前で立ち止まった。



下げていた頭を上げて社長を見上げた。



「美人だ。それにハキハキした受け答え。息子を頼むよ。」



「はい。」



社長が副社長から出ていく。私は大きく息を吐き出した。



「緊張か?」



笑う尚輝に負けじと微笑んだ。
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