俺様副社長のターゲット
私は視線を落とした。周りの視線が気になって仕方ない。



「松井?」



視線を上げれば、後ろを振り返り私を見つめる尚輝の瞳とぶつかった。私は無理矢理笑みを浮かべた。



「いえ、何でもありません。」



尚輝の視線から逸らし、前だけを向いて歩きだした。


外には社長の車が停まっていた。運転手が扉を開けている後部座席に社長が乗り込む。


私は副社長に視線を向ければ、顎で乗れと言っている。



「副社長、どうぞ。私は後で向かい………。」


「松井さん、乗りなさい。」



車内から聞こえてきた社長の声に車内を覗き込んだ。



「いえ、社長は副社長とお先に………。」


「行くところは同じだ。乗りなさい。」



私は車内から副社長に視線を向ければ、背後には退社する社員がチラチラと私たちを見ている。
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