俺様副社長のターゲット
「親父、どうんなんだよ。」



隣に座る尚輝もお父さんである社長の意見が気になるらしい。社長と視線を合わせたまま、私は社長の言葉を待った。



「美人だし、尚輝が惚れるのも分かる。それに考えもしっかりしているし、秘書としても十分だと思う。」


「親父、問題でもあるのか?」


「あるとすれば、尚輝の隣で過ごすには弱い人間だと感じた。周りの目を気にして、昔のトラウマから抜け出せていない。それでは尚輝とは無理だ。」


「そんな事は…………。」


「そんな事ではない。この先もずっと周りの目は集まる。松井さんには無理のように思えた。ただ、秘書としては優秀だし、このまま副社長の秘書としてはお願いしたい。」



じっと社長の瞳を見つめて話を聞いた。嘘ではない。社長の本心だとわかる。



「尚輝、今の松井さんでは無理だ。」


「今の?」


「そうだ。」



じっと社長を見つめていた。
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