俺様副社長のターゲット
尚輝の鋭い視線が私に向けられる。



「朱里、言ったよな?俺がお前を好きじゃないって。」


「本当のことでしょ。尚輝先輩は私に拘ってるだけ、執着してるだけ。」


「勿論、罪悪感はある。忘れられなかった理由かもしれない。けど、朱里を好きだって気持ちも本当だ。」


「…………尚輝先輩にはもっと相応しい人いるよ。」


「相応しいとか関係ないだろ。朱里だってセックスする友達を彼氏と勘違いしてんだろ。」


「はあ?彼氏だって言ってるでしょ。ちゃんと好きだし。」


「俺と付き合ってた時みたいに頬を染めたか?毎日、会いたいって思うか?毎日、声を聞きたいって思うか?少しでも触れたいって思うか?」



尚輝から視線を逸らして、目の前にあるワインに手を伸ばす。



「それは高校生だったからで、大人になった今は違うでしょ?」


「違わない。毎日、会いたいし、声も聞きたい。もっと触れたいが、俺は彼氏じゃないから、それは出来ないけどな。」


「ははっ、息子のこんな言葉を聞けるとは。今日は来て良かったよ。」



社長がクスクスと笑っている。
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