俺様副社長のターゲット
次の日、私の家のリビングには尚輝が座っていた。私は呆れた目で尚輝を見た。


お父さんとお母さんと会話をしている。



「佐伯さん、家の娘はどうです?」


「頑張って貰ってます。まだ一週間ですが、覚えも早く助かってます。」


「そうですか。そう言って貰えると嬉しいです。」



お父さんと話す尚輝を見ていれば、私の視線とぶつかった。


ニヤリとする尚輝に眉間の皺を寄せた。



「所で、朱里さんを夕食を誘いたいのですが。懐かしい話もしたくて。」


「懐かしい?」


「朱里さんとは高校時代の先輩後輩です。」


「そうでしたか。朱里?」



お父さんに呼ばれて視線を向けた。



「朱里、用意しないのか?」


「いや~、副社長………。」


「いつものように呼べ。今は副社長じゃなく、先輩後輩として誘ってる。」


「…………尚輝先輩、悪いけど………。」


「朱里。」



お父さんの声に視線を向ければ、首を横に振っている。
< 89 / 229 >

この作品をシェア

pagetop