俺様副社長のターゲット
「お父さんもお母さんも知ってるでしょ?私には彼氏がいるの。」


「ああ、挨拶にも来ない彼氏か?」



お父さんの不機嫌な声に苦笑いした。



「付き合ってるだけだし。そのうち機会があれば連れてこようか?」


「向こうに挨拶する気があるならな。」



一度も私の家には連れてきた事がない。煌太は一人暮らしだし、わざわざ連れてくる必要もなかったから。



「兎に角、折角、上司の佐伯さんが誘ってるんだ。夕食ぐらい行ってきなさい。」


「お父さん……。」


「朱里、上司と食事も行けないような彼氏と付き合ってるのか?」



お父さんに痛い所を突かれた。私はこれ以上煌太の印象を悪くしたくなくて頷いた。



「用意してくる。」



私はリビングから自分の部屋に向かった。リビングを出る時も両親と楽しそうに話をする尚輝の声が聞こえた。
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