俺様副社長のターゲット
「いや、当たってる。朱里はそんなに彼氏が好きじゃない。」



言い切る尚輝にムッとした。そんな私の表情にも笑みを浮かべる尚輝に溜め息を吐いた。



「ポジティブですね、尚輝先輩は。」


「そうか?」


「そうです。怖いものなんてないでしょ?」


「いや、あるよ。」



意外な答えに尚輝を見つめた。尚輝もじっと私を見つめている。



「朱里。お前が俺の前から消えるのが怖い。」


「…………。」


「突然、前触れもなく、別れを告げるお前が怖い。」


「あれは…………。」


「仕方なかった?でも突然隣から消えれば、俺も堪えるんだよ。」


「尚輝先輩……。」


「2度と消えるな。」



私を見つめる尚輝の真剣な表情に、言い返す言葉が浮かんでこない。


私も傷付いた。だけど尚輝は私以上に傷付いていたのかもしれない。



「ごめん、尚輝先輩の気持ちも考えずに。」


「今度は頼れ、いいな。」



私は素直に尚輝の言葉に頷いた。
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