俺様副社長のターゲット

「別に知り合いってだけだろ。変に思わ…………。」


「尚輝先輩はモテるんです。注目されるんです。私を巻き込まないでください。」



私は副社長に背を向けて、今度こそ会社を後にした。社員の視線を避けるように早足で駅に向かう。



「はぁ………、疲れた。」



駅のホームで盛大にため息を吐いた。


家とは逆方向にある煌太のマンションを目指す。チラリと腕時計を見れば、１９時を過ぎようとしている。


煌太から預かっていた合鍵で部屋に入る。真っ暗な部屋に煌太が帰ってきていない事が分かる。



「ふぅ～。」



ソファーに深く腰掛けて目を閉じる。誰もいない静かな部屋に疲れからか眠りが訪れる。



「煌太、まだかな。」







ハッと目を覚ました。周りを見れば、まだ煌太は帰ってきていないようだ。チラリと時計を見れば２１時を過ぎている。



「帰ろうかな。」



私は眠い体を起こして立ち上がった。早く帰って布団に入りたい。