夢の言葉と虹の架け橋【夢の言葉続編①】
拾った上着を、
ゆっくりヴァロンに差し出そうとすると…。
「……シュウ。」
彼が私の名前を呼んで、
差し出した腕を掴んで引き寄せて、
ギュッと、抱き締めてくれた。
上着が私の手から、
静かにパサッと落ちる。
喜びよりも、驚いた。
ドキドキよりも…。
心臓が止まった様に静かになる。
「…行ってくるわ。」
心地良い彼の声と温もり。
たった一言。
それだけで錯覚でも安らいだ気持ちになる。
「……。
はい、行ってらっしゃい。」
そう答えると、
ヴァロンはゆっくり私から離れた。
上着を拾って肩に掛ける様に持つと、
彼は颯爽と任務に向かって歩き出す。
そんなヴァロンの背中を見つめる私は…。
きっとあの日、
任務に向かうリディアを見つめていた彼の瞳と同じだった。
〈回想終了〉