夢の言葉と虹の架け橋【夢の言葉続編①】
「…ホラ、入った入った。」
ヴァロンの背中を押す様にして、
私はまず余っていた部屋に彼を連れて行った。
「ここ、好きに使っていいわ。
ヴァロン、アンタの部屋よ。」
「!……。俺の…部屋……?」
遠慮がちに見渡すヴァロン。
喜ぶというよりは、戸惑っているその表情。
カタカタと震えている小さな肩。
子供部屋も、この子にとっては居心地の良くない場所だったとハッキリ分かる。
仮にも他人の私との同居生活。
離れたい時があるかな?
と、部屋をあげたけど…。
ヴァロンは何年経っても、
自分の部屋の扉を閉めなかった。
眠るギリギリまで一緒にリビングにいて、
密室に籠る事を決してしなかった。
どんなに私と言い合って気まずくなっても、
ヴァロンの部屋の扉は開きっぱなしだった。