夢の言葉と虹の架け橋【夢の言葉続編①】
【港街】

一人で港街に戻った私は家に帰る気にもならず、街中にある橋の上で佇んでいた。
下を見ると、水面に映る自分の顔。
私の、醜い表情。


自分が怖い。

サヤの幸せそうな表情を見る度に、
いつも心の何処かで妬んでいた。
好きな人がいて、その人に愛されて。
ギルバートに大切にされているサヤが羨ましかった。

私だって、産みたかった…。
恋をして、両想いになって…大切にされて。

愛されて、
愛する人の赤ちゃんを産んで…。
ずっと、家族が欲しかった……!!


震え上がる身体と感情。
溢れた涙がポタポタと水面に落ちた。

そして、
それと同時に…雨が降ってきた。

雨が涙を隠してくれて、ちょうど良い。
そう思って俯いた。


その直後、私の頭にバサッと布が掛けられる。
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