スーパー丸尾ブラザーズ
そんなことで俺は指揮者になってしまった。

指揮者なんて初めてだから、音楽の先生に色々と教わった。

楽譜はちゃんとは読めないけど、授業で習ったからある程度の強弱記号なんかは覚えている。


指揮者もただ四拍子のリズムを取ればいいわけじゃなくて、歌に抑揚をつけるためにみんなを引っ張っていかないとならない。


もちろん演奏中に俺が喋って指示なんてできないから、ジェスチャーっていうか、腕と上半身を使って伝える。


それも難しいんだけど、そもそも指揮することになんだか恥ずかしさと照れがあって、俺のせいだと思うけど、最初の頃はみんなの声がバラバラだったんだ。


うちのクラスがこれじゃまずいって思ったのは、放課後の音楽室での練習だ。


練習は授業の他に、放課後の練習がある。

大体は教室のオルガンで練習するんだけど、時間交代で、ピアノがある音楽室なども使うことができた。


俺らは練習時間より早く音楽室に着いたから、まだ前のクラスの練習が終わってなかったんだ。


だから廊下でそれを聴いていたんだけど、歌といい、指揮といい、なにもかもがうちとは桁違いだった。

上手なのかどうかはわからないけど、勢いがあって、クラス全体がまとまっている感じ。

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