スーパー丸尾ブラザーズ
丸尾家の冬

―史弥の冬―

俺らの住む浜白市は冬になると積雪が多い。

自転車では学校に通えなくなるので、冬季間は学校までバスで通っているんだ。


2丁目のバス停から乗り込み、後ろの二人がけの席に座る。

3つ先の5丁目のバス停で衣里が乗車した。


衣里は俺と目が合うと、にこっと笑ってくれる。それなのに前の方の座席に座るんだ。


そう、まだ付き合っていることは内緒のまま。


それでももしかしたら隣に座ってくれるかもしれないって思って、俺はこうして二人がけの席に座る。

そして衣里もそれをわかっているはず。


俺は雪が降る前に、一度衣里に聞いていた。


「冬の間、俺らどうやって会うの?」

「うーん、でもラインもできるし……」


ラインと会うことは全然違う。

「衣里はあんまり俺に会いたいって思わないの?」

「会いたいけど……方法が思いつかなくて」


俺は小さくため息をついた。

付き合っていることを隠さなければいい話なんだ。いつまでこんなことしているんだろう。


気持ちが冷めてしまいそうになる。

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