スーパー丸尾ブラザーズ
ベンチにも雪が積もっていて座れる状況ではなかった。

海の方を見ると、空の色と同じような暗い色で混ざり合い、水平線はわからない。


俺も衣里も、この頃には気持ちはだいぶ落ち着いていた。


衣里がくしゃみをして、俺がその音に反応する。

顔を上げた衣里も俺の方を見て、目が合った。


そして次の瞬間にはきつく抱きしめ合っていた。


俺は目をつぶり、今までにないくらい強く衣里を抱きしめた。衣里も細い腕に力を込めて俺の体を受け止める。


言葉はない。ただ強く強く、抱きしめ合っていた。


もうこれが最後なんだなって、それだけ思っていた。

< 152 / 197 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop