スーパー丸尾ブラザーズ
―郁の冬―
『俺、失恋したんだ』
たまたまだけど、兄ちゃんが名菜に話しているのを聞いてしまったんだ。
彼女に振られたんだろうか。振ったんなら『失恋』って言い方はしないよな。
それにしても兄ちゃんを振る女ってどんな人だったんだろう。俺が言うのもあれだけど、兄ちゃんには欠点がないから。
だから俺は、ムカついていたんだけどさ。
今日はクリスマスイブ。
去年は兄ちゃんが友達の家に泊まりに行ってて、いなかったんだよな。
今思うとあの時だって、きっと女といたのかもしれないけど。
名菜はあからさまに兄ちゃんに気を遣っている。さっきからチキンを兄ちゃんの方に回してあげてて、祥平がキレてる。
「なんで今日はふみ兄の味方してんだよ」
「ちい兄には秘密だもん」
「はぁ?意味わかんない」
……お気の毒。
兄妹の中では祥平だけが、兄ちゃんの失恋を知らないからな。
兄ちゃんも軽い気持ちで名菜にしゃべったらだめだろ。あいつはガキだから秘密を隠しきれてないんだぞ。
たまたまだけど、兄ちゃんが名菜に話しているのを聞いてしまったんだ。
彼女に振られたんだろうか。振ったんなら『失恋』って言い方はしないよな。
それにしても兄ちゃんを振る女ってどんな人だったんだろう。俺が言うのもあれだけど、兄ちゃんには欠点がないから。
だから俺は、ムカついていたんだけどさ。
今日はクリスマスイブ。
去年は兄ちゃんが友達の家に泊まりに行ってて、いなかったんだよな。
今思うとあの時だって、きっと女といたのかもしれないけど。
名菜はあからさまに兄ちゃんに気を遣っている。さっきからチキンを兄ちゃんの方に回してあげてて、祥平がキレてる。
「なんで今日はふみ兄の味方してんだよ」
「ちい兄には秘密だもん」
「はぁ?意味わかんない」
……お気の毒。
兄妹の中では祥平だけが、兄ちゃんの失恋を知らないからな。
兄ちゃんも軽い気持ちで名菜にしゃべったらだめだろ。あいつはガキだから秘密を隠しきれてないんだぞ。