スーパー丸尾ブラザーズ
実際に問題はなかったんだ。

話すことはちょっと苦手だったみたいだけど、持ち前の明るさで小学校に入ってからも、友達はたくさんできた。

幼稚園から一緒だった桃子ちゃんが、名菜と同じクラスにいてくれたおかげもある。


「それだけじゃないさ。あの頃は、郁がよく本を読んであげてくれてたんだよな」


名菜は言葉をどんどん覚えて、2年生に上がる頃には担任の先生からも、心配はありませんって言われるようになったらしい。


15歳の俺が言うのも変だけど、名菜は1年生のころより、本当に大きくなった気がする。


まだ幼い部分はあるんだけど、それでも少しずつ体だけではなく、心も成長していることは、俺や兄ちゃんはもちろん、祥平も感じているとは思う。


「史弥もよく下の子の面倒は見ててくれてたんだけどな。

だけどあいつは落ち着いているように見えて、結構感情的になったりもろい部分もあるからな。


そしてあいつはそれも自覚していたんだ。

史弥は弟達の中でもお前のことだけは、だいぶ意識していたんだぞ」


……兄ちゃんが俺のことを?

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