スーパー丸尾ブラザーズ
それこそ会話はないものの、最近はベンチの端で澤口さんがちらちらと俺の様子を伺っている気がする。


別に俺も澤口さんを見ている訳じゃないから、気のせいと言ってしまえばそれまでだけど、多分これはそうではないと思う。


右側から横目での視線を感じるんだ。まつげだけが動いている気配。

まあ、あくまでも気配だけど。自意識過剰と言われたらそうかもしれない。


だけど特に俺がスマホを触ったりすると、気にしているんじゃないかな。なんとなくそわそわしている感じが伝わってくる。


澤口さんは大人しいから、俺のことが気になったところで、何も動いたりはしないだろう。


だからちょっとだけ悪戯したくなる。


俺は座っていたベンチの左側から間合いを詰めて、澤口さんのすぐ近くに身体を寄せた。

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