スーパー丸尾ブラザーズ
亜季がラインで言ってた大切な話っていうのも、どうせまた復縁のことだろう。

会議では9月に行われる文化祭についてだったが、俺はほぼ上の空で聞き流していた。

ずっと隣にいる亜季からの視線ばかりがさっきから気になっていてしょうがない。


会議が終わり荷物をまとめて急いで体育館に向かおうとしたけど、案の定亜季に呼び止められる。


「ごめん、俺部活だから今度にしてくれないかな」

「すぐ終わるから」

そう言って亜季に促され、着いたのは自分たちの教室だった。もちろん俺ら二人しかいない。


「……史弥、私、もう史弥のことは諦めようと思っている」


亜季はもう最初から泣いていた。

俺は申し訳ない気持ちと、開放されるかもしれないというわずかな期待が混ざって、複雑な思いのまま、黙って頷いた。


「最後のお願い、聞いてくれるかな」


この時点で先ほどの気持ちは消えて、嫌な予感だけ残る。

< 55 / 197 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop