スーパー丸尾ブラザーズ
キスはしない。

そのまま仰向けになっている亜季のセーラー服の胸元のリボンをはずす。


「ほんとに亜季のこと考えないから。俺の好きな人のことだけ考える。

その子とやってるつもりで亜季とやるよ」


「……史弥、好きな人いるの?」


亜季は一瞬怯んだ。それでも思い直したように目をつぶる。


「……うん、それでもいい」


亜季の両頬に涙が伝い、耳の方へ流れていく。


「……できるわけないだろ」


さっき脱いだワイシャツを着て教室を出た。亜季の傷つく姿も想像できたが、これ以上教室にはいたくなかった。

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