スーパー丸尾ブラザーズ
しばらくそうしていたけど、澤口さんは俺の背中に腕を回すことはなかった。


「ごめんね、勝手に。びっくりしたでしょ」

「私は別に……大丈夫?」

澤口さんの顔を見ると平気そうに振る舞いながらも、顔を赤くしているのは隠せない。


その表情と今の抱きしめた腕の中の感触で、なぜだかたまらなくなって、つい言ってしまった。

この時は俺の情緒も安定はしていなかった。


「ねえ、お願い。俺と付き合ってよ」


少し間が空いた後に小さな声で、


「よろしくお願いします」


と返ってきた。


だけどその後に澤口さんは、


「周りには内緒にしてもらえないかな……?ここでこうして会っていることも」


なんでだろう、恥ずかしいからかな。


「いいけど」


少しだけ不安になってもう一度抱きしめる。

今度は俺の背中にも手を回してくれたけど、緊張なのか、その手には力が込められていなかった。

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