スーパー丸尾ブラザーズ
「いっくん、一緒に帰らない?

それとも今日は晩ごはん当番かな?ちょっと付き合ってほしいとこあるんだ」


怜香から帰りの誘いを受けるのは、中学校に入ってからは初めてだった。

女子バレー部に所属していた怜香は部活を引退した。それでも放課後は女友達と一緒に帰っていたし、俺のほうも普段は決まった友達と帰っている。


話はそれるが、バレー部に所属していたのもやっぱり兄ちゃんがいたからかなと、怜香の気持ちに気づいたときに当然だけど思ったことがある。


……今日は母さんがいるから晩ごはんは作らなくていいけど。


しかし怜香は俺の返事よりも先に、俺の友達に「今日いっくん借りるから」と言って、家とは反対方向に歩きだす。


「どこ行くの?」と尋ねても「いいからいいから」って言って、ずんずん歩いていく。


着いたのは4丁目にある無人の神社。神社があることは知っているが、俺は一度もここに来たことがなかった。


合格祈願?恋愛成就?


怜香は階段を登っていく。

階段のふもとには西条高校のステッカーが貼られた自転車が一台停まっていた。


まだ高校生が帰るには早い時間だなと思ったが、今日は西条は開校記念日って言ってたっけ。

兄ちゃんは部活があるから、俺には関係ないけどねって言ってたのを思い出した。

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